2013年4月30日火曜日

「CLOTH ROAD」 クロスロオド 脚本:倉田英之 絵: okama 完結 全11巻

「CLOTH ROAD」 クロスロオド 脚本:倉田英之 絵: okama 完結 全11巻

ウルトラジャンプは一応創刊前後は買っていたので、本作も知ってはおりました。そういえばラスト読んでないんだよ!というわけで、買ってきました。ブックオフで! ウルトラジャンプて扱ってるコンビニ少ないから、買い逃すんですよ。



作画のokama氏の絵はあまり漫画では見かけません。絵柄の質的にはイラストレータ? 比較的薄い色使いが味でしょうか。元気はつらつな女子を描かせると右に出るものがどうたらこうたらだと思います。ただし、アオリを使った大胆な構図が特徴的ですね。上から下から。http://okama.nicomi.com/artIllust.html

個人的な意見をいわせていただくと、イラストレータには躍動感を出すのが苦手な人が多いような。私見です。特定の誰とか言ってません。あくまで「キャラクタがポーズとってる記念撮影」。しかしokama氏の作画はやたら躍動感があります。首をグイグイ突き出して、ツッコミを入れるシーンとかね。

本作は、オシャレバトル漫画。メカメカしい武装はありません。あくまで服です。キャラクタには女性が多いので、必然、ドレスですね。華は大切です。しかし、それがokama氏の絵柄に非常にあってます。彼はメカメカは苦手そうだ。ニーソックスがドリルに変形したり、袖がブレードに変形したりするわけですよ。

主人公は二人。生き別れになっていた双子の男女。デザイナのファーガス。モデルのジェニファー。前者がメカニック、後者が闘士と言い換えちゃってもいいですが、それが本作の世界観。闘技は、ファッションショーのランウェイになぞらえて、WAR-KINGとか言います。でも入力面倒なので、武闘と呼びます。主人公二人が、「凡人代表」

 

両親ともに存命ですが、遭えません。父親のガーメントは行方不明っていうか指名手配?? 母親のアルジャンヌは、なんと「地球を覆う服」ドレススカイの生体制御装置として、空の上です。しかも寿命が近づいてるらしい。かなり吹っ飛んだストーリー。両親二人が、「天才代表」。

 



1巻冒頭より、肥満の男性モデル、ハヤブサ。師匠グスタフと共に、その戦闘に付き合わされるファーガス。そこに現れたのは、下町の武闘に出るのは場違いな実力者、美々介。「美しくない」と称して、ハヤブサの贅肉を、ベロリと切り落としてしまう。剥ぎ取りってことです。命には別状ありませんが、即入院。包帯グルグル。

 
大多数の攻撃は、斬撃です。トップモデル同士なら避けますが、そうでなければ、結構切れます。鼻の頭やら、腕やら。エンターテイメントのWAR-KINGですらそうなのですが、5巻あたりから戦争が始まります。容赦しないので、細かく輪切りです。 しかし直後倒れる師グスタフ。旧型のナノマシンが体中に回っており、手術するにしても金が掛かる。場末の仕立て屋しかも弟子にそんな金があるわけがない。そこに現れるジェニファー。

ジェニファーの1人目の師はペリルヌ。実はロイヤルカストラートの専属モデルで、当時のオフィシャルドレスもまだ持っていた。かなりの実力差があるにも関わらず、生まれついてのすばしこさを活かして、何回目かでジェニファーが1本取れる。



美々介にどうにか勝つも、手術代は間に合わず。グスタフは、既に旧型のナノマシンが脳まで達しており、手遅れ。病院のベッドから立ち上がり、旅に出ろと突き放す。ファーガスが始めて作ったエプロンを抱きしめながら。ええシーンだ。思い出しただけで泣けてきた。憑き物が落ちたかのように穏やかな表情のグスタフ。



ファーガス+ジェニファーはいずれも凡人どころか未熟者ですが、二回りも違うであろう実力者に、閃きと根性で対抗していくさまは痛快。週刊少年ジャンプ向き。ウルトラジャンプだったけど!

首都ロイヤルカストラート。最終的には母親と再会には成功して、彼女を「開放する」ことを誓う主人公二人ですが、ファーガスは2人目の師匠トーガに、ジェニファーはジューンメイに必死に懇願して、それぞれ弟子に。どうにか人並みに使えるように。


 

父親、ガーメントの登場で、物語がグチャグチャになります。我が子の顔を観るなり、凡人であったことを残念がるという酷さ。天才であるが故に凡人を愛せない。全体の図式は、凡人対天才ですが、天才ガーメントは狂気の代表でもある。

ガーメントの狂気は、人間と服の融合。彼が世界中から集めてきたモデル達は、物語中盤、どう観ても妖怪としか言えない有様になって、街を襲います。近代兵器はほとんど歯が立たず、街は壊滅寸前。そこに颯爽と現れるジューンメイ。生体兵器を瞬殺。

ジューンメイは、当時最高峰のトップモデルではありましたが、天才というよりは天然。初期はどちらかというと、掴み所の無い人物として現れますが、ジェニファーと絡み始めて、貫禄が出てきてます。様々なエピソードで、要所要所で登場。しかし、彼女単体の戦闘は、全編通してわずか2戦。最初はクロスロード本選への乱入。天才というよりは達人? そして生体兵器で蹂躙され、焦土と化しつつあるロイヤルカストラートへ。



全11巻。まったく退屈しません。11巻中盤で本編は終わりですが、後日談も微笑ましく。10年後のサブキャラ達の生活を描きます。

 

名作です。