2015年9月19日土曜日

安保法制可決>消費大国ニッポンはついに、軍事力まで「消費」するのに至った

安全保証関連法案が可決してしまった。小生は何度か書いてる通り反対なのだが、反対した程度で否決するとも思ってない。デモをやらかす気もデモに参加する気もない。

知人の投稿でようやく知ったのだが、「関連法案」というからには複数の改正案を内包してる。


え、こんなにあるの?というのが正直なところ。もうよく判らないからなんとかしてよ!という無辜の民の発想は無理もない。

実際の可決風景は大騒ぎの乱闘ありでお粗末なものだったそうだが、賛成派の国民は概ね好意的に見ていようだ。結果が良ければ経過はどうでもいいのか。facebookの彼のタイムラインを見てはいるが、概ねこんな感じの「祝福」で溢れ帰っている。

総理、おめでとうございます!

はて、日本国を守るための手段の話をしていたと記憶しているのだが?

それの可決を日本人が「おめでとう」と言う。この他人事感はなんなのだろう。国民には「勝訴!」にでも見えているのだろうか。もちろん「ありがとう」なら判るし、そう言ってる人も居る。これなら「無辜の民」でもまだ見どころはあろう。 他力本願もいいとこだが、当事者意識があるだけまだマシだ。 それを見どころと言っている。

その一方で、芸能人の何人かは反対の意志を露にしているが、そのコメント欄の反論にもまた違和感を感じる。一部引用だが、個人を責める意図はないのでURLは貼らない。

  • でも相手は武器なしとわかるとボコボコにしますよ
  • 9条でミサイルを撃ち落としてみてほしい。
  • 自国は自分で守らないと!

もちろん物の喩えだというのが判るのだが、それを差し引いても例によって違和感しか感じない。
これらの話を短絡思考としか言いようがないのだが、もちろん当人は当然だと思ってるのだろう。さもなければこんな喩えすらしない。

  • 武装していれば敵国がせめてくることはない。 → 武装してようがしまいが外交は必須。
  • 武装すればミサイルが撃ち落とせる。 → 逆になんで撃ち落とせたことになってるのだろう?
  • 自国は自国で守る → 俺が守る、とは絶対に言わない日本人※いやもちろん小生も言いませんよ。反対派だから!

つい先ほど、この長年(?)の疑問が氷塊した。

  • 日本人の大部分の「無辜の民」は、政治と自衛隊はサービスか何かだと思ってるのだ。
  • 控えめに言えば「人間が従事していることを忘れている」

政治がサービスだと思っているのなら、選挙で政権交代すれば政治は改善する、という思考も腑に落ちる。

自衛隊がサービスだと思ってるからこそ、安保法制関連は、サービス強化の一環ぐらいしか思ってないのだろう。それなら反対するわけがない。 まれにネットサービスから届く「会員規約の変更」ぐらいと同列で考えてるのだろう。

日本人の「消費者」のモンスタークレイマーっぷりは目に余る所だが、無辜の民はついに「軍事力を消費」するところまで来たということなのだろう。

  • 戦争法案反対!と叫ぶのは政府に対するモンスタークレイマー
    • 法案を成立させようとする政府に対する文句だから
  • ネトウヨ黙れ!と叫ぶのは自衛隊に対するモンスタークレイマー
    • 「自衛隊が日本を守れる」ようにするためには必要だ!から

出発点からして違うのだから、最初から平行線なのも無理はない。もちろんそうでない反対派も居る。賛成派は知らない。知ったこっちゃない。彼らは自分が国際情勢に詳しくてアタマイイつもりらしいから。

以上はもちろん小生の解釈でしかない。数人の「論客」を観察したうえでのものであるから、サンプリング不足は承知のうえで。

原子力発電の賛成&反対も似たような図式なのだろう。今理解した。

集団防衛権賛成派が必ず最後に持ち出すフレーズがある。

じゃあどうやって日本を守るんだよ!

逆に聞きたいのだが、可決したらサンハイで「日本を守れる」とでも思っているのか。それこそお目出度い。自衛隊の努力を蔑ろにしてる=しかしそれは軍備がサービスだと思ってるのなら仕方ない。ゲーム感覚なのはどっちだよ。

引き続きアメリカに手伝ってもらう算段もあるのだろう。 米軍等行動円滑化法案という題目には笑うしかない。

武器調達あるいは武器の販売を、日本政府がオフィシャルでやろうという向きもあるようだ。


「防衛装備庁」10月1日発足、閣議決定 http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150915-OYT1T50132.html

 1800人体制で防衛装備品の研究開発や調達、輸出を一元的に管理し、コストの削減を図る。自衛隊の部隊運用業務は自衛官中心の統合幕僚監部に集約し、内部部局の運用企画局は廃止する。
 中谷防衛相は記者会見で「新たな組織の下で、防衛省・自衛隊がより能力を発揮し、適切に任務を遂行できるようになる」と語った。

研究開発までならまだいいとして、「輸出」は正直聞き捨てならない話。

損失は税金で穴埋め 武器輸出に貿易保険 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015092302000122.html

政府は武器輸出を原則認める防衛装備移転三原則を昨年四月に閣議決定している。防衛省装備政策課は「国として武器輸出政策を推進するには、企業を支援するさまざまな制度を整える必要がある」としている。今後は具体的な武器輸出の事例などが出てきた際、国家安全保障会議で検討した上で、貿易保険の適用について判断していく方針。

これらの武器輸出制作に関する言及はネットでも非常に少ない。

少なくとも1976年までは、「平和国家」として輸出には制限してたらしい。制限か。

武器輸出三原則 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/mine/sanngen.html

2.武器輸出に関する政府統一見解(1976.2.27)
 「武器」の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとし、その輸出を促進することはしない。

イスラエルへの武器輸出が可能に 武器輸出禁止三原則を放棄し防衛装備移転三原則を閣議決定 http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/889f23f7555a054ecd4a381df2ad1f08

実は、以上の二つの記事のように、パレスチナへの国際法違反の占領を続け世界で孤立しているイスラエルへの武器輸出が可能なように練り上げたのが今回の武器装備移転三原則です。アメリカなどと共同開発したうえでイスラエルへ輸出を予定しているF35戦闘機の共同開発に日本が参加できるように、巧みに言葉を組み上げています。日本が武器を輸出できない「紛争当事国」とは湾岸戦争時のイラクなどごく例外的なものでしかなくなるのです。
どうなることやら。