2015年8月30日日曜日

なんであんなに自信満々なのか判らないオリンピックエンブレム問題

次から次への「関係者」が出てきて新事実を明らかにしていく様はまさしく五輪委員会。まさかエンブレムごときでここまで引っ張ってくるとは思いませんでした。

誰かが何か言えばいうほど矛盾が露呈しまくるのだけど、どいつもこいつも自信満々なのに驚く。本気で問題ないと思ってるのか。

オリンピック委員会「実は佐野研二郎のロゴは元は違う形で委員会で修正した。だからパクリではないです」←速攻で矛盾がバレて泥沼へ http://netgeek.biz/archives/46771
オリンピック委員会は8/28、都内で記者会見を開き、当初公開しないと断言していた佐野研二郎氏が堤出した原案について公開に踏み切った。しかし、なにやら話がおかしい。またもや整合性のとれない矛盾点が出てきた。
これが佐野研二郎氏がはじめにつくったエンブレムだ。Tの文字に日の丸を添えている。

そしてここが最大の矛盾点。佐野研二郎氏は当初、「エンブレム制作にあたってはアルファベットのロゴが先に出来上がり、その中からTOKYOの「T」を選んだ」と説明していた

佐野氏は先日の記者会見で、得意気にアルファベット一覧を提示したが、この時のデザインは現行のものだった。
修正したのが真実だとするなら、旧デザインの「アルファベット展開」が出て然るべきだろう。

このままでは駄目だと思ったのか、永井一正氏(86)が旧デザインとやらを持ってきたのだが

【炎上】五輪エンブレム審査委員が佐野研二郎の当初のデザイン案を初公開するも、Tじゃないうえにダサすぎて泣ける http://netgeek.biz/archives/47125

五輪公式エンブレム審査委員代表の永井一正氏(86)が佐野研二郎氏の当初のデザインは今と違うもので委員会で修正したと発言したことに関連して、原案となった初めのデザインを公開した。

どうやら画像は、テレビ放送のキャプチャのようだ。「原案」の手書きと思しきイラストが出ているのだが。
  • これはTOKYOのTというより、
  • トウキョウのトですね。

これを素晴らしいデザインと言えるかどうかはかなり怪しい。っていうかブッチャケダサイ。こんなのが合格するって、他の応募がどうだったのだろう。俄然気になってきた。

佐野氏の五輪エンブレム原案公開 組織委「オリジナル」と主張 http://news.livedoor.com/article/detail/10523261/

デザイン審査は、8名の審査員によって昨年11月に2日間かけて行われた。審査員を務めた日本グラフィックデザイナー協会特別顧問の永井一正氏は会見で「展開力まで考えると、佐野さんのデザインが圧倒的だった」と「展開力」を強調した。

この展開力という奴がよくわからない。オリンピックエンブレムに必要なものなのか?

 しかし、商標調査を進めると「ある国のある企業のロゴマークと似ていた」ために、組織委員会が助言し、2回の修正を加えて現行案に至ったという。組織委は「佐野さんが修正したもので、オリジナルである」と主張した。

どうやら商標調査をしていたのは確かのようだ。そして類似があったのも確からしい。それはベルギー劇場ではなかったのだろう。しかし、「委員会が助言し」ベルギー劇場のロゴに似てしまったというなら、委員会が余計なことをしたと解釈するしかない。

佐野研二郎氏のエンブレム、原案から決定案までの過程が判明 http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/28/sanokenjiro-emblem-tokyo2020_n_8052946.html

1972年札幌冬季オリンピックのエンブレム制作者で審査委員の永井一正氏は、佐野氏デザインのエンブレムには「展開力」があると強調した。ここで言う展開力とは、エンブレムを構成する四角形や円などのパーツを分解して再構成することで、新しいデザインが生み出さされるということを意味している
永井氏のいうところの「展開力」の説明がされているわけだが、正直見ればみるほど判らない。

マルだのシカクだののエンブレムの構成要素を分解して、再構成したとしよう。それが「オリンピック関連である」と連想できるものなのか。はなはだ疑問である。というか自己満足じゃね?

大きい日の丸は? 五輪エンブレム「原案」に相次ぐ疑問の声 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/163228

5日の釈明会見でも、佐野氏はアルファベットの「T」のフォントから、1964年の東京五輪で亀倉雄策氏が制作したエンブレムの「大きい日の丸」を落とし込むという独自の着眼点を強調。ベルギーの劇場ロゴとは「デザインに対する考えが全く違うので、全く似ていない」と訴えた。

「ちっとも“大きい日の丸″は浮かんできませんよね。今回の組織委の弁解も、『原案には似ているデザインが見つかったため、修正をお願いしたら、今度は別のデザインと似ていた』と言っているようなもの。ますますオリジナリティーに疑念を抱かせるだけです。そもそも言葉に頼らないのがデザインの本質。これ以上、能書きを垂れるのはやめた方がいい」(大阪芸大教授の純丘曜彰氏=芸術計画学科)

今回の一見で、グラフィックデザイン業界の暗部が次々と明らかになりまくってる。同業者の反感を勝って然るべきだろう。大阪芸大教授とやらも、永井一家には大層割を食っていたに違いない。ここぞとばかりに攻撃している。

ただ「言葉に頼らないのがデザインの本質」には完全に同意する。思えばこのオリンピックは最初から説明ありきだった。

そもそも旧デザインが「ベルギー劇場のロゴと似てない」から何だというのか。「とある国のとある企業のロゴに似ていた」のだろう。戻せば大丈夫という感覚が判らない。本気で言ってるのか。東京五輪委員会は馬鹿なのかと思わせるには十分すぎる。


五輪エンブレム展開例にて盗用されたネタ元についての続報 http://blogos.com/article/130981/

[4]はロンドン・パラリンピック動画のキャプチャであり、一番手前の垂れ幕と一番奥の垂れ幕に利用されている。[5]の団扇はなんとAmazonの商品イメージから取られており、実にお手軽である。[6]の表彰台のシルエットは、素材サイトDepositphotosで 販売されている素材であるので、購入されて使われているのであれば全く問題のないものだ(上記の比較検証画像は、引用部分と引用元を明記し、批評の正当な 目的のために行われる引用の範囲であると考える)。ただ、シルエットは正面を向いたものではなく後ろ向きであるので、表彰台で使うのに適しているかどうか は疑問が残る。

[7]のヤン・チヒョルト展はギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で 2013年11月に開催されている。[8]は個人のページのヤン・チヒョルト展の感想に掲載されている画像だが、色合いといい、右下のよく分からない●と いい、実によく似ている。[9]はヤン・チヒョルトによるタイポグラフィだが、アルファベット展開もここから着想を得たのだろうか。もっとも、単純な ■▲●の組み合わせにすぎないので、これで著作権侵害が成立するかどうかは怪しい。
やればやるほど墓穴を掘る佐野氏。自ら携わったとしてる「展開例」だが、アチコチからのコピペで製作してることがかなり明らかになったようだ。

素材の使い方も面積の大きく、また貼り合わせ方も甘く、やっつけ仕事感は拭えない。まあこれはプレゼン用の資料らしいので、一般の目には触れない前提なのだろう。こんなことでもない限り、世には出ない代物である。