2015年8月18日火曜日

佐野デザインの2020東京オリンピックエンブレム問題かなり七転八倒

本来こんなに盛り上がるべき問題ではないと思うのだが、余程反感を買ってしまったのだろう。まあ言わんとしてることは判る。こんなデザインを容認した連中はロクでもない連中に違いない。だから罰を与えてやろう。そんな感じだろう。

ぼちぼち法人も動き始めたらしい。ある意味一番被害が大きそうなのは彼の母校。

佐野氏教授務める多摩美大、サントリー模倣問題で事情聴取へ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150817-00000129-sph-soci

佐野氏は96年に同大の美術学部グラフィックデザイン科を卒業。14年に美術学部統合デザイン学科が開校したのに合わせて教授に就任した。来年以降、「佐野プロジェクト」と名付けられた3、4年生の授業を持つ予定で、現在は特別講義などで教べんを取っているという。
本題のオリンピックエンブレムはともかく、「佐野プロジェクト」の存続を見届けて、一つの区切りとなりそうな気はする。

オリンピックエンブレムだけならここまで問題にはならないし、実際無関係の「同業者」からでも擁護する声はあったようだ。しかし、より物議を醸し出したのは、サントリーのプレゼントのトートバッグのデザインで、かなりの点で他作品と類似性があったからだ。

サントリー、佐野研二郎氏デザインのトートバッグプレゼントを一部取り下げ ネット画像無断使用の指摘 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1508/13/news087.html

サントリービールは「キャンペーンの賞品についてお問い合わせ、ご指摘をいただくなどご心配をかけ、誠に申し訳ございません」と謝罪。佐野氏からの申し出 を受け、8種類を取り下げ、発送を中止したという。該当賞品に応募した人には同社から連絡する。残り22種類の賞品は残し、キャンペーンは続ける。

サントリーにとってもいい面の皮だろう。

佐野氏デザインバッグ 酷似指摘で取り扱い中止 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150813/k10010189031000.html

赤っぽい色の矢印に「BEACH」と描かれたデザインについては、インターネット上のサイトに出品されている壁掛けのアートのデザインと似ていると指摘されていました。
また、女性が泳ぐ姿とその影が描かれたデザインについては、外国人デザイナーのTシャツのデザインと似ていると指摘されていました。
さらに、フランスパンの一部が描かれたデザインについては、おすすめのパンを紹介する個人のブログに掲載されていた写真と大きさや形が一致していると指摘されていました。

法人サイト MR DESIGN にプレスリリース?が貼ってあるのだが、どこまで調査したのかと思いきや。まるで判りませんといった雰囲気。「改めて検証しました」という体裁であり、いつぞやのSTAP細胞の一件を彷彿とさせる。

http://www.mr-design.jp/ ※なんと文章が画像化して貼ってある
↓書き取ってくれた人が居た

【速報】佐野研二郎「トートバッグのデザインは部下がパクった。オリンピックのエンブレムは自分一人で作ったのでセーフ」 http://mona-news.com/archives/39987085.html

その一連の過程において
スタッフの者から特に報告がなかったこともあり、私としては渡されたデザインが
第三者のデザインをトレースしていたものとは想像すらしていませんでした。
ツッコミ所満載である。
  • 自分の監督責任を棚にあげておいて
  • 「部下を売った」経営者に誰が付いていくというのか。 
  • しかも自分は「ごめん!気づかなかったわ」で済ませようとしてるのにだ
思いもよらないのはともかくとして、部下からPSDファイルを受け取ったんじゃないのか?中見れば制作過程の見当が付くだろう ... orz その時点で「このフランスパン、どうしたの?」と聞けば済む。それをしなかったのだとすれば、

  • PhotoShopを使えない人だった
  • 中を見ないで納品を承認した。
  • 佐野氏が「パクれ!」と指示した
これほど「好意的に解釈しにくい」ケースも珍しかろう。疑った方が簡単だ。

更に、事務所に突撃して、佐野氏の配偶者&広報担当に直撃したようだ。

“パクリ疑惑”続々 佐野研二郎氏の妻が激白「実務は何人かの部下が」  http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162700

「確かにトートバッグのデザインを監修したのは佐野です。しかし、細かい実務を担っていたのは何 人かの“部下”です。その部下たちの話を聞いた上でないと、返答はできません。今は事務所が夏季休暇に入っているので、調査にもう少し時間がかかります。 そもそも、ゼロベースからデザインをつくり出すことは、一般的ではありません。あくまで一般論ですが、どこかで見たデザインから無意識に着想を得ること は、珍しいことではありません」
奥さん、それフォローになってないよ orz
  • 「夏期休暇だから時間が掛かります」
    • そもそもこの状況でフツーに休むなよ orz
    • 連絡の付かない(ことになってる)部下も駄目だろう
  • 「実務を担っていたのは部下です」
    • 監督責任はあるんだよ
    • 最終納品物への責任もあるんだよ
  • 「部下の話を聞かないと判りません。」
    • 取り下げた時点で、事情を認識したんじゃねえのかよ orz
    • まさかその段階で既に夏期休暇なのかオイ
      • 従業員の電話番号とか知らないの?
      • 携帯電話持たないで長旅に出る従業員ばかりなのか?
  • 「どこかで見たデザインから無意識に着想を得る」
    • それだったら逆に認めなきゃ駄目だろ orz

佐野氏デザイン取り下げ 米国のデザイナー「法的手段も検討」 http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00300210.html

ジョージア州のデザイナー、ベン・ザラコーさんは、佐野氏が取り下げたサントリービールのキャンペーン賞品の1つで、「BEACH」と書かれたデザインについて、およそ15年前に、自分が制作したものと完全に一致すると指摘する。
ベン・ザラコーさんは「全てが一致する。文字の間隔も、わたしがあえて変えた文字の太さも同じだ」と話した。
「取り下げた」ということは間接的にパクリを認めたということでもある。製作者のテイストまで模倣しており、弁護士によれば「盗作」と呼ぶに値する代物らしい。


トートバッグデザインパクリ事件で学ぶ著作権侵害の基礎 http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20150817-00048568/
元ネタは海岸にあるような立て札をモチーフにしていますが、わざと下手にした感じなどデザイナーの個性が表われており著作物と言えます。本件は画像のデッドコピーであり、当然に元ネタの作者の個性も含めてコピーされていますので著作権侵害は否定しがたいと思います。FNNニュースによれば、元ネタ作者(Ben Zaricor氏)は、結構怒っており法的手段も検討しているとのことです。

その一方で、類似が指定されながらも取り下げてないものも多数あり、その一つが黒猫。

「黒猫」デザイナーが佐野氏に苦言「ご自身に甘い」 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150816-00000169-sph-soci

その一方で、佐野氏に対する不信感も示した。取り下げた賞品は「明らかに逃げ場のないものに絞られていた」と指摘。自身の作品も含め、デザインやモチーフが似ているものに関して問題と認めていないことに、「この認識に対しては多少異論があります」とした。

模倣しているとの特定は、難しいとした上で「ある意味コピペ(コピー&ペースト)よりも悪質かもしれませんが大多数の方が一目見て似ていると判断したものがコピーと判断されます」。自らの見解を述べると同時に「この流れのなかで、まだ一部分しか認めないという佐野さんの認識は少しご自身に甘いようにも思えます」と苦言を呈した。
甘いと言えば甘いのだろう。何に対してかといえば自分ではなく、残念ながら社会に対してだろうと思われる。立派な事務所もお持ちらしい。まあ黒猫については、小生が今素人目に見ても「微妙かなー」と思う。これならトボケきれると考えるのも致し方あるまい。そんな調子だからこそ駄目なのだが。

【速報】佐野研二郎が「デザインの仕入元」と囁かれるPinterestを使っていることが判明→速攻でアカウント削除 | netgeek)  http://netgeek.biz/archives/46112

エンブレムの記者会見では、Pinterestを見てない、と弁明したはずが、実際に彼の法人メイルアドレスで登録を試みるという禁じ手により、あっさりアカウント所有がバレてしまう。そればかりか、アカウント削除したらしい。

これで証拠隠滅を疑うなというのは無理があるだろう。間接的に「パクる場合もあります」と認めたとも言える。

どんどん出る!佐野研二郎氏、Tシャツでまた新たな「パクリ?」疑惑が持ち上がる http://www.yukawanet.com/archives/4922779.html

問題のTシャツは「ローリング・ストーンズ」をあしらったもので、佐野氏がこれを手がけたという。そこにはギターを引くローリング・ストーンズのメンバーではなく別のシルエットが描かれていた。ところがそのシルエットは、ローリング・ストーンズとゆかりもないどころか、全く別のアーティスト「ギタリスト、ビレリ・ラグレーン」ではないかと思われる写真が使われていたのだ。

問題の写真は「Bireli Swing ’81」の裏ジャケットの写真から拝借されたのではないかという声もあるようで、佐野氏はこのように次々と盗作疑惑が持ち上がっている状態となっている。

シルエットや、人物像のポーズはともかく、ヘアスタイルまで酷似とは、普通に考えればあり得ない。左右反転して貼ってるのは明らかだろう。しかも本作は、「佐野氏デザイン」と銘打ってるから、非常に弁明しにくい懸案である。

中途半端な弁明のために、痛くない腹を探られる。と言いたいところだが、彼の場合は本当に痛そうだ。ただし脳内麻薬やら神経異常やらで痛みが伝わらないとか、そんな有様を想像する。

自分でデザインする「デザイナ」と、他社の製作したデザインを統合するアートディレクターとの混同も指摘されては居るが、

2015-08-15 アートディレクターと佐野研二郎 http://d.hatena.ne.jp/oxyfunk/20150815

ここまでを踏まえると、佐野研二郎が今回において「東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムはMR_DESIGNで応募したものではなく、私が個人で応募したものです」と弁明したことの意味がわかってくる。つまり、佐野において東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムはグラフィックデザイナーという個人の水準で関わったものである。そして対して、サントリービールの景品はMR_DESIGNのアートディレクターという組織の水準で関わったものである。だからこそ、今回の対応は「アートディレクターとしての管理不行き届きによる問題」とされたのであり、東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムの時のようにデザインをどのように見ればよいのかいう丁寧な説明はなされなかったのである。
そのとおりではあるが、小生は逆の感想を持った。

証拠隠滅に尽力してるのは明らかな、佐野氏/MR DESIGNであるから、この段階でオリンピックエンブレムを取り下げてないということは、逆に言えば「本当にパクっていない」可能性が高いとも言える。 すぐに逃げる奴が逃げないから本当らしい、とようやく証明できるというのは皮肉なものだ。

だからこそ必死に「俺は悪くない」の主張を繰り替えしたのかもしれない。ただもうこれは、「狼が来てしまった時の狼少年」としか言いようがない。自分の主張を繰り返すだけの彼には、同業者といえど好感を持つのは難しい。

それ故に、国内のネット民ですら反感を買い、パクリ疑惑をほじくり返されまくってる彼だが、正直小生はあまりこういう御仁は追い詰めない方がいいんじゃないかなー、と思ってるのだが。「俺悪くない」主張をする人間は一般的には「精神的に脆い」という見解を持っているからだ。これで自殺でもされちゃ後味悪かろう。

そんなことはお構いなしに、怒ったのがベルギー側だ。

ベルギー・デザイナーが提訴 IOCに使用差し止め請求 「当然の対応を取った」
http://www.sankei.com/world/news/150814/wor1508140040-n1.html

劇場ロゴのデザイナー、オリビエ・ドビ氏(52)と劇場は7月31日、エンブレムの使用停止を求める書簡をIOCと日本オリンピック委員会(JOC)に送 り、8日以内に応じなければ法的手続きを取る考えを伝達。ドビ氏は共同通信に対し「当然の対応を取った」と述べた。原告弁護士によると、提訴は8月13日 付。(共同)
差し止め要求なんかできるんだ!と関心。まああっちは王立劇場らしいので、オトナのやりくちは熟知しているのだろう。熟知してないのは日本の政治屋共だ。

劇場じゃなくて、デザイナーが訴えるところに違和感はまああるが、「原告弁護士」が居るのだからそれなりに正当な行為なのだろう。

五輪組織委、提訴のベルギー側を激しく非難「説明に耳傾けようとしない」 http://www.sankei.com/sports/news/150817/spo1508170042-n1.html
2020年東京五輪の公式エンブレムがベルギーの劇場ロゴに似ていると指摘されている問題で、ロゴのデザイナー側がエンブレムの使用差し止めを求め て提訴したことに対し、大会組織委員会は17日、「われわれの詳細な説明に耳を傾けようとせず、提訴するという道を選んだ」などと、デザイナー側を非難す る声明を発表した。

 組織委は、訴えを起こされた国際オリンピック委員会(IOC)と共に訴状を確認したとし、エンブレムはデザイナー側の権利を「一切侵していないとする立場に変わりはない」と主張した。
 「詳細な説明」って何のことを言ってるのか。「日本での日本人向け記者会見」のことを言ってるならお門違いだろう。あれは日本国内からのパクリ呼ばわりに対しての弁明でしかない。

本来なら、ベルギーに乗り込んで、それ相応の交渉をすべきだ。その誠意を示さずに、「俺は悪くない」だけを繰り返す連中の何を信じろというのか。なにしろ誠意がない。謝罪ですらない。とすれば、喧嘩売ってると解釈するのが筋だろう。

 そしてこんな国際問題で、「売り言葉に買い言葉」をやらかすような「日本の政治屋」が「戦争しません!」「中国には話が通じない」と言ってるのを思い出して欲しい。集団防衛権が可決したら、 いずれ弾の一発でも飛ぶことだろう。

とはいえ、日本側は佐野氏と心中することに決めてしまったようだ。これで佐野氏個人が自殺したりとかいう懸念は薄まった。※あんな奴どうなろうと知ったことじゃないって?まあそう言わずに。貴方って集団防衛権に賛成だよね :P

おっと脱線した。小生がこれらの動向を見守ってるのは、「東京オリンピック開催には今でも反対」だからなのだが、エンブレム問題ごときで、新会場建設問題ごときで、中止することは断じてないらしい。

東京五輪、どんなに暑くても「真夏」縛り 秋にできない大人の事情 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150817-00000001-withnews-spo

なぜ秋にできないか。その理由は巨額なテレビ放映権料です。アメリカのNBCユニバーサルは、22年冬季から32年夏季までの6回の五輪の米国向け放送権を76億5千万ドル(約7780億円)で獲得しています。

 秋は欧州ならサッカー、米国は大リーグが佳境を迎え、アメリカンフットボールのNFLとも競合します。他のスポーツとテレビの放映枠を争うようなことがあれば、テレビ放映権料に影響がでかねません。
これで全ての合点が言った。ゼネコンが儲かるのは表面的なもので、実際の利益はテレビ業界。なるほど、確かにそっちの方が利益率が高い。ゼネコンはむしろトバッチリか。

テレビ業界の延命に、オリンピックを使いやがったということだ。石原元都知事の思惑とか知らない。