2011年4月1日金曜日

被害者意識と消費者意識

東京電力の隠蔽等は看過できるものではなく、色々取り沙汰されるのは仕方の無いことだが、
一介の作業員に文句を言っても何も伝わるまい。
http://twitter.com/OfficialTEPCO のフォロー達を見るにつけ
つくづくそう思う。

これらを見て筆者が残念に思うのは、「電気は消費するもの」という意識だ。
それらは、計画停電の実施について、被害者意識に現れている。

「湯水のように」という言葉がある。日本人は水と空気はタダだと思ってる。電気もそうだろう。水の需要を満たすためにダムを作る。電気の需要を満たすために原子力発電所を作る。少なくともこの点は、筆者は東京電力を責めない。責められない。

本質的な問題点は、電気は「備蓄」するのが困難ということだ。出来なくも無いが、東京電力管轄のすべてをフォローできる容積はとてもじゃないが用意できない。そしてその代替が、電気自動車のバッテリーとなる筈だった。らしい。

電気自動車が普及していれば、節電風潮も一般的になっていたことだろう。残念なことに未だにガソリン車は未だに多い。先週までのガソリンスタンド行列を見れば明らかだ。
蛇口をひねれば水が出る。コンセントにつなげば電気が出る。そういう生活に慣れきった「消費者」としては、準備やら何やらで大変だろう。

なんで筆者は慌てないのかって?この冬はエアコン使ってないし、家のPCはノートだけなんで。節電?フツーだよね。

かくして、ライフラインの一部を断たれる「消費者」。

オイルショックだからトイレットペーパーを買い占める。飲料水から放射性物質が出たからミネラルウオーターを買い占める。同じ調子で、電気も買い占めたいに違いなかろう。

しかも、問題の計画停電は、先週までは「やる」と言っているのに「やらない」。しかも実施したとして、比較的同じ地域で連続しているらしい。該当地区の住民、勤務者の不満は、そろそろピークだろう。

  • 非対象地域の23区だけ値上げして、停電地区の負担をしてくれとか。
  • 停電ばっかりで頭にキタから、夏場は節電してやらないとか。


余りに大人げない意見が多すぎるが、これは私生活やら仕事やらに支障を来たし、余裕がなくなっての事だろうと、割り引いておく。しかし、その一方で、甘んじて節電している人々も居る。

その一方で、どこぞの報道で、東京電力の現地作業員の実状が流れたら、
待遇改善を呼びかけて見たりして、マスコミにどんだけ踊らされてんのかと。

計画停電で困ってるのは一人じゃあるまい。
近隣住民でまとめて、自治体経由で東京電力に申し入れるのが筋だろう。
ツイッターでつぶやくとか辞めてほしい。日本人の恥を晒すだけだ。

供給電力は最初から限界がある。
それは東京電力発表のグラフを見ても明らかだ。

http://www.tepco.co.jp/forecast/

「消費者」が節電しなければ絶対足りない。そして節電は、あくまでお願いする立場で、強制力はない。数々の節電を積み重ねて、ようやく平常時の3割程度まで減らせてる。

不夜城の筈の銀座は真っ暗。繁華街ほどそんな感じだろう。
http://blog.goo.ne.jp/ucf6601/e/df46d950c3016157c872a81d7ed4cd47

筆者は、計画停電も値上げも、仕方のないことだと思う。
日本の何割かの発電所が止まってしまった現状では
電力需要を満たす電気を作るのは、一月前ほど簡単ではない。

そして、今までその需要を満たしてたのは、原子力発電所の功績だ。

しかも、この風潮では、折角稼働している原子力発電所も止めざるを得まい。
筆者は、原子力発電所には、反対とも賛成とも言えない。

逆に言うと、電気の価値が挙がってしまった。筆者はそう解釈している。
殆どの「消費者」は未だにそれが判らない。それが残念である。

計画停電に反対するなら、まずは原子力発電所に賛成するのが先だろう。どこぞの能天気な「消費者」じゃあるまいし、「早く代替電力を確保してくれよ」などとはとても言えない。
それが見つかってるなら、とっくにそうしている。そして喜んで原子力発電所を止めるに違いない。

故に、この電力不足の収集は容易ではあるまい。東京電力だけを責めても何の解決にもならない。日本中が一丸にならなければなるまい。地デジとか非実在青少年とか受信料とか言っている場合じゃ無いのだ。

もちろん原子力発電所は、動かさなくて済むならその方が素晴らしい。

被曝の恐ろしさは、「バケツでウラン」事件の、医師側の手記に詳しい。http://toracyan53.blog60.fc2.com/?no=1224その凄惨さは筆舌にしがたい。出勤前に読んでしまったら、正直その日いちにちは仕事にならないだろう。
放射線が出てしまったら、電子機器は近づくことが出来ない。らしい。どんなに発達しようが、ASIMOは無理ということだ。

人間が行くしかない。間違いなく死ぬというのにだ。
筆者とて行きたくはない。死地に赴くレスキュー隊員の苦悩は計りしれまい。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110320/dst11032001230006-n1.htm
結局、原子力は、どう考えても人間が使うには過ぎた代物なのだ。誰が考えても明らかになってしまった。

何度も言うが、これは東京電力を責めるだけでは解決しない。

  • 原子力発電所を作るなら、確実に止める方法を用意しなければならない。燃料棒が露出したとして、中性子線が出てたとしてもだ。
  • 原子力発電所を作らないなら、代替のエネルギーを探さなければならない。それも最新の原子力発電所に匹敵する容量を。

コスモクリーナーDか、大規模作業用には汎用人型決戦兵器が必要だろう。
もちろん冗談だが、人間を殺したくないなら、さぞかし有効に違いあるまい。

東京電力の独裁を揶揄する向きもあるが、電力事業の自由化なのだから、
文句があったら自分で発電施設を立ててみればいい。40億あれば出来るらしい。

それに仮にこの事態を収束できたとして、
10年は東京電力の評判は地に落ちたままだろう。

原発の放射線で日本中が戦々恐々としている中、30Km県内の宮城県民の方々は、もう家に帰ることは出来ない。そして、津波の被害は忘れ去られている。日本人は災害ですら消費しようとしている。