2016年1月23日土曜日

最近、バス事故多いよね

最近、バスの事故をよく聞く気がする。年末年始だし休暇もあるし、団体客の長距離旅行も増えるのだろう。

結論からいうと、小生は、バス運転手を責める気は毛頭ない。以前か書いているが、自動車の運転は重労働なのだ。

7日 小石川

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016010701001337.html

小金井署によると、現場は片側1車線のほぼ直線。バスは対向車線側の歩道に乗り上げたり、バス停や信号をなぎ倒したりした後、道路左側のアパートに突っ込んで止まった。乗客はいなかった。同署は運転手の回復を待って事情を聴く。
この原因はまだ判ってない模様。

17日 兵庫県

バス蛇行運転 運転手はてんかんと診断 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160122/k10010382171000.html

今月17日、ツアー客42人を乗せて松山市から兵庫県宝塚市に向かっていたバスが、兵庫県淡路市の高速道路で蛇行運転を繰り返しました。
バスを運行していた愛媛県東温市のバス会社「アトラストラベルサービス」が、その後、運転していた70歳の男性運転手に病院で精密検査を受けてもらったところ、後天性の「症候性てんかん」と診断されたということです。

よく混同されることが多いようだが、癲癇は兵庫の方らしい。
小生は知らなかったが、もちろん癲癇+自動車運転は危険である。

申告義務化の「てんかん」 免許取り消し増加 http://www.oita-press.co.jp/1010000000/2016/01/21/235525076

改正で、運転中に意識障害を起こしたことがあるかなどを問う質問票に正しく答えないと、1年以下の懲役か30万円以下の罰金が科されるようになった。
 3年以内に病状が回復すれば、再取得する際の試験が免除される優遇策が、改正と同時に設けられた。15年6月からは、取り消し前に交通違反のない人が欠格期間を経て再取得すると、最初からゴールド免許が受けられる制度も始まった。
そして問題の軽井沢 15日

軽井沢バス事故 直前の映像公開、猛スピードで蛇行か http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160120-00000042-jnn-soci

長野県軽井沢町で15人が死亡したバス転落事故で、国土交通省が事故を起こしたとみられるバスの直前の映像を公開しました。
緩やかなカーブを大型バスが猛スピードで通り過ぎます。この映像を捉えたのは事故現場から250メートル離れた、国土交通省の監視カメラ。バスは右に傾いたままカーブを曲がり、反動で今度は左に傾きそうになりながら走り去ります。

運転免許のない小生は、「え?これ蛇行してるの?」と思ってしまったが、実際に運転する人なら、この数秒の動画でも色々判ってしまうらしい。知人のおっちゃんは「ブレーキ踏みっぱなしですね」と言っていた。ああ、それは確かにすぐに判る。


軽井沢のスキーバス転落事故 運行会社社長が土下座し謝罪 http://news.livedoor.com/article/detail/11071809/

一方、事故当時運転していた土屋さんは先月、イーエスピーに採用されたばかりだったが、会社側は以前にバスや大型のトラックに乗ったことがあるから大丈夫と判断し、大型バスで2回の研修をさせた上で、実際に客を乗せたのは14日が4回目だったことを明らかにした。

たったの2回かよ!と思ってしまったが、別の記事では何やら事情が違うようだ。
運転手の事情には、次の記事が詳しい。

バス運転手2人も死亡、知人「何で事故になって…」 http://www.asahi.com/articles/ASJ1H6G1RJ1HUTIL05P.html

元々はダンプなどの運転をしていた土屋運転手。最後に会ったのは昨年末で、契約社員としての勤務に「仕事が半分くらいになって楽になった。これからはゆっくりやるんだ」と話していたという。
近所の釣り好きのメンバーが、土屋運転手にお願いして小型バスを出してもらうこともあった。面倒見が良く、遠出すると言えば「こっちの道を回ったほうが早いぞ」と道順を細かく教えてくれた。理容室の男性が10年前に結婚式を挙げた時も、式場へのバスを土屋運転手が出してくれたという。
もう1人の勝原恵造運転手(57)=東京都青梅市=の妻は「家で仕事のことは話さない人だった。昨夜も『行ってくる』と、いつも夜行バスを運転する時と同じように家を出たのに」と声を詰まらせた。
 バス会社の社長から、勝原運転手が亡くなったこと、事故当時に運転していたのは勝原運転手ではなかったことを聞かされた。「夫が事故を起こしたわけではないのは良かったけど、詳しい状況がわからないから連絡を待ちたい」と話した。


  • マイクロバス経験は豊富であろうこと
  • 病歴は特になさそうであること
  • ダンプ=必然、長距離トラックの運転経験はあるであろうこと
  • 積極的に脇道を使う人らしいこと、
  • もう一人運転手が同乗していて、そっちはちゃんと長距離バスのベテランであろうこと
ここまで並べると、どうも土屋運転手が悪者になりかねない。
繰り返すが、小生は死傷者を悪者にする趣味はない。その証拠に乗客の話はしていない。


【長野バス転落事故】旅行会社、法定運賃未満で下請け要求 http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/4566649.html

15日、長野県軽井沢町でバスが転倒し、14人が死亡、26人が重軽傷を負った事故で、バスの運行会社は、法定の下限を下回る料金で請け負っていたことが新たに分かった。
 国土交通省は16日も都内のバス運行会社「イーエスピー」を特別監査したが、事故当日のバス料金について、イーエスピーは、旅行会社「キースツアー」から19万円で請け負ったと説明しているという。これは法定の下限の27万円を大幅に下回る金額。
運転手2人の日当(?)各種料金を合わせると、19万で利益が出るか、かなり心配になってしまう。普通に考えたら赤字じゃあるまいか。或いは運転手への報酬が減る。或いは法人が抱える運転手の人数が減る。

高速を使わず一般道を使おうとするのはまあ無理からぬことかも知れない。

ブレーキ利かず制御不能に陥ったか…バス転落 http://www.yomiuri.co.jp/national/20160121-OYT1T50100.html

 15人が死亡した長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故で、バスは事故直前、ギアがニュートラルの状態か4速以上の高速ギアに入っていた可能性があることが、捜査関係者などへの取材でわかった。
 製造会社によると、事故を起こしたバスは後輪駆動で6速のマニュアル車。ブレーキはドラム式で、下り坂を走行中にフットブレーキを使いすぎると、利きが低下する「フェード現象」や「べーパーロック現象」が起きる可能性がある。このため、下り坂ではギアを3速以下に落とし、エンジン回転の抵抗で速度を落とす「エンジンブレーキ」を利かせて走るのが普通だ。
前出の動画では、ブレーキランプ点きっぱなしなので、「ブレーキ故障」を疑いたくなる。が、どうや違うらしいという報道

バスのエンジンブレーキ利かぬ状態 ギアがニュートラル http://www.asahi.com/articles/ASJ1P4CQ2J1PUTIL02G.html

県警は大破した車両を、バスを製造したメーカーの立ち会いで20日まで検証した。関係者によると、ギアを調べたところ、ニュートラルの状態になっていたという。また、ブレーキ部品に異常はみられなかったという。
 事故現場の250メートル手前の監視カメラの映像では、バスは速度超過の状態で、カーブで大きく膨らんでいたことが分かっている。エンジンブレーキや、その働きを補助する排気ブレーキが十分に働かず、フットブレーキでは減速が足りずに、下り坂でカーブを曲がりきれなかった可能性がある。県警は車両から回収した運行記録計などを元に、いつからニュートラル状態だったか、速度超過がどの時点から始まったのかなど、車両を調べている。

大型バスで、ギアがニュートラルに入ってしまう機構については、次の個人ブログに詳しい。

碓氷の事故は、もしかしたら、「フィンガーシフト」が原因なのか?…☆ http://transprincess.blog.fc2.com/blog-entry-882.html

さらに恐ろしいのは、ギアはキャンセル前の4速や5速ではなく、
ニュートラルの状態になってしまうという事です。
自動車免許をお持ちの方、想い出してみてください。自動車学校で、こんな事を習いませんでしたか?
「下り坂で、ギアをニュートラルに入れてはいけません☆」と。
エンジンブレーキがゼロになった車は、暴走を始めます。
残念ながら小生は運転免許がないのではあるら、そういう話であれば色々帳尻はあう。
  • ベテラン運転手だけど
  • 大型バスの経験はあまりない
  • それ故の事故か、
とは言え、運転していた土屋氏にも自信はあまり無かっただろう。勝手が違うことも認識しているはず。

5年前のネタだ、こんな記事が出回ってきた。

受験当日に大雪で電車が止まり女子学生がヒッチハイク。運転手は目的地を通り過ぎ… http://spotlight-media.jp/article/239253102997368170

17日午前0時過ぎ、2人はこのままでは試験に間に合わないと判断し、列車を降りてヒッチハイクで会場まで向かうことを決意します。
その後、この学校は車に書かれていた社名をもとにヨコヤマさんを捜し出し、女子生徒の合格を報告します。報告を受けたヨコヤマさんは「よかった、よかった」と一言。そして「当たり前のことをしただけだから、大げさにされることは勘弁して欲しい」と付け加えたそうです。

あまりにも日付が具体的、多分実話なのだろう。

ただ何故この時期なのかというと、長距離トラック経験者の例のバス運転手の火消しかと思わないでもない。

長距離トラック運転手は、気のいい兄ちゃんやらおっちゃんやらが多いのだろうという点は、別に疑う気はない。問題はそこではない。

輸送トラック運転手と、長距離バス運転手は、まるで別の職能なのだなと私個人も思い知ったのではあるが。

問題の犠牲者の一人、その父の理性的なスピーチには驚かさせる。氏に経緯を表し全文転載させていただく。

スキーバス事故で犠牲 阿部真理絵さんの通夜 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160120/k10010379661000.html

父親がコメント「自慢の娘だった」 今回の事故で亡くなった阿部真理絵さん(22)の父親の知和さん(56)が、通夜のあと報道各社の取材に応じ、用意したコメントを読み上げました。

「本当に明るく、誰とでも仲良くできる自慢の娘でした。真理絵は突然の事故により、非常に短い人生を終えることになりましたが、多くの友人や恩師のお言葉を聞き、とても楽しく、充実した22年間を過ごせたことが分かりました。今回の事故については、憤りを禁じ得ませんが、多くの報道を見ていると、今の日本が抱える、偏った労働力の不足や、過度な利益の追求、安全の軽視など、社会問題によって生じた、ひずみによって発生したように思えてなりません。今回の事故については、警察によって原因と責任の追及がなされ、また、行政による旅行業者の問題の洗い出しや、改善が行われることを期待しておりますが、すぐによくなるものではないと思っております。きょうも多くの若者がバスツアーに出かけているでしょう。ぜひ、自分の身は自分で守るということを考えてください。優先順位を間違えないこと、安全は『マスト項目』であり、費用削減は『ウォント項目』であることを冷静に考えてほしいと思います。今回の事故につながったツアーに関して、私たちは娘を信用しきって、内容をほとんど確認せずに参加させてしまいました。あとの祭りにはなりますが、『ツアーがどんな内容か』とか、『ちゃんとシートベルトを締めろよ』とかの声がけをすべきであったと悔いております。親兄弟、おじいちゃんおばあちゃんとして、子どもたちに何が大切なのかを気付けるような声がけをしてほしいと思います。お節介だとか、うざいとか思われるかも知れませんが、年長者の役割のように思っております。1月15日は、私たち家族やほかの遺族にとっては命日になりますが、報道関係者や旅行業者の関係者などにおかれましては、このような事故が起こらないように、毎年、何らかの発信、行動をなすようにしていただければ、今回の事故の犠牲者がみなさんの心の中に生き続け、安全に対する心のたがが緩むことを防げる一助になるのではないかと思っております」。

すき家のワンオペ問題を筆頭として、低料金サービスは従事者に負担を掛ける。

他人の命を預かる、公共道路交通の運転手には大きな責任がある。しかし運転手だけに責任を追わせるのは明らかにおかしい。

蛇行してたこともさることながら、運転手は最大限の努力をしていたはずだ。

貸し切り夜行バス 「睡魔との闘い」「低賃金」 http://mainichi.jp/articles/20160120/k00/00e/040/228000c

仮眠できるけど疲れはとれないね」。事故のあったツアーと同じく、東京から長野県・斑尾高原に向かうバスの男性運転手(63)は、まぶたが重そうな様子で話した。到着してから次の運転まで仮眠時間は8時間確保されている。しかし昼夜逆転の不規則さのため、仮眠スペースでは熟睡できないことも多く、帰り道はいつも睡魔との闘いになる。
別のバス運転手(54)は嘆く。「20年やってるが競争が激しく運賃が相当下がった。しわ寄せは運転手さ」

仮眠はどこでするのかと思ったら、バスの側面に入り口があり、横臥できるスペースがあるようだ。思ったより寝心地は良さそうだが、十分な防音でもないだろう。


棺桶で仮眠」と話題…長距離バス運転手の過酷な勤務実態 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/173561

「一般的な夜間長距離バスは運転手2人態勢で深夜に出発し、目的地到着は早朝。現地で仮眠を取り、別の客を拾って出発地に戻る運行スケジュールです。到着地では乗客の荷物の搬出入やら車内清掃に時間を取られますし、食事も済ませなければならない。睡眠時間が5時間を切るのは珍しくないし、都合よくパッと寝付けるわけでもない。睡眠不足は常態化しています。しかも、運行中はネットで出回っている棺桶のような仮眠室を2人で共用するのですから、相当ストレスフルな環境です」(旅行業界関係者)

なんということか。あそこで2人が並んで寝るのか。ソイツは安眠どころじゃないな。