2016年8月6日土曜日

成人1人の介護には、最低でも3人は必要。

重度障害者の19人殺傷事件。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/25/sagamihara_n_11186432.html
・相模原市緑区千木良の障害者施設「県立津久井やまゆり園」で7月26日午前2時半すぎ、刃物を持った男が侵入
・19人が死亡、26人が負傷
・26歳の男を殺人未遂などの疑いで逮捕し、今後、容疑を殺人に切り替える。
・容疑者は施設の元職員

痛ましい事故であり、加害者が在日だの、或いは障害当事者から次から次へと擁護発言が出てるが、これらの問題はそんなポエムで解決する話ではない。

全ては、人間の「弱さ」に起因している。

成人障害者、ついでに老人介護もふくめてしまうが、これは当事者がよほどの人格者あるいは精神的余裕がない限りかならず破錠する。

何故って?自分の時間が無くなるならまだ良い。下手をしたら寝る時間すら無くなる。

考えてもみてほしい。

夜中の3時とかに、「ヒロシさーん」とか大声で毎日叫ばれても見ろ。
オマケに、明日は10時から会議だ。

ああ、念のため強調しておくが、小生はヒロシさんではないし、夜中の3時に起こされた経験はない。しかしその配偶者の話は聞いたことはある。ちなみにそれもヒロシさんではない。

類人猿には睡眠は必須だ。睡眠時間が足りなければそれだけで精神に支障をきたす。イライライして余裕が無くなる。瑣末なことにも腹を立てる。ストレスを急速に蓄積し始める。

俺はこんなに頑張ってるのに!

ストレスを解消するには、精神的余裕が絶対必要だ。

念のため強調しておくが、これは介護者の「弱さ」であり、小生はこれを肯定する。

精神的余裕を確保するには、介護対象から離れるしか手はない。
休息時間はながければ長いほど良いが、そうは行かない。相手も生きている。

成人1人の介護をする場合には、3人は必要である。多ければ多い程良い。これは小生の実体験を踏まえた上で言ってる。その3人でローテーションするのが理想だろう。

しかし大概の家庭でそれは困難だ。
だからこそ介護施設がある。そしてそこに預ける家族がある。

繰り返し強調しておくが、これは肉親の「弱さ」であり、小生はこれも肯定する。

愛する家族であろうと、1対1で長期間の介護をするのは無理がある。
だからこそ老々介護でたまに配偶者の殺害が起こるのだ。

http://www.news-postseven.com/archives/20150822_344679.html

〈被害者(妻)は、昼夜を問わずに足腰の痛みに苦しんでおり、睡眠もままならず、日常生活を送ることにも多大な困難を伴う状況であった(中略)苦しみに耐えかねた被害者から殺してほしいと懇願され、被害者を苦しみから解放するためにはその求めに応じる以外に方法がないものと考えた〉
http://www.sankei.com/west/news/160426/wst1604260050-n1.html

捜査関係者によると、八尾容疑者は正乃さんの介護について「夜に2回ぐらいトイレで起こされた。おむつをしてくれないのでシーツごと取り換えるのが大変だった」と説明。自宅からは「精も根も尽きた」とするメモとともに、介護経過を詳細に記したメモも見つかったという。

愛する肉親を、介護施設に預けたとしよう。これで家族の精神の安定はある程度保証できる。

犠牲の姉「一生懸命生きてた」 相模原殺傷、無念の遺族 http://www.asahi.com/articles/ASJ815G0VJ81UTIL03L.html

長女は生後まもなく脳性小児まひと診断された。意思疎通が難しい。部屋中を走り回り、自ら壁に頭を打ち付けることもあった。「正直、恥ずかしい、かわいそう、と思ったこともある」と次男は振り返る。
 男性一家はかつて、親戚とともに出身地の関西に住んでいた。「障害のある子がいることで(親戚の)縁談に影響が出るのでは」。長女が10代のころ、神奈川県に住まいを移した。
「一生懸命生きてた」姉を理由に、「縁談の影響」を懸念して引っ越す。

しかも問題の介護施設では、もっと大きい人数比で従事している。

深夜の当直では、2人やそこらで30人をカバーしなければならないとかよくあるらしい。これは本職のはずの病院介護でも同じだろうことは想像に難しくない。

問題のやまゆり園ではどうだったのか。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/shinodahiroyuki/20160805-00060790/

相模原で障害者が19人も殺害された現場「津久井やまゆり園」を訪れたのは8月3日、暑い日だった。行ってみると予想以上に交通の便が悪く、なかには相模湖駅に着いてもバスもタクシーもつかまらず立ち往生する人も少なくなかったらしい。そういう場所に事件後1週間以上たっても献花に訪れる人がたくさんいたのが印象的ではあったが、もうひとつ私が感じたのは、まさに「人里離れた」ということがふさわしい「津久井やまゆり園」の都市部との距離感だった。
http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/25/tsukui-yamayurien_n_11190408.html

施設の定員は160人。4月末時点で、19~75歳の149人が長期滞在していた。個室に1人か2人が入所し、全員が支援の必要度を示す6段階の区分のうち、重い方の「4~6」に該当する知的障害だった。約40人が60歳以上とみられる。敷地は約3万平方メートルで、21の建物から成っている。

問題のやまゆり園では、最大160人の要介護者に対して、恐らくスタッフが26人。これで全員だったとすると実に6倍の人数比で捌いていることになる。

それを是正出来ないかぎり、今後何度でも事故は起こるだろう。これはこの施設に限った話ではない。全ての介護施設に言えることだ。

今一度、これは職業介護者の「弱さ」であり、小生はこれも肯定する。

ちょっと検索すれば判るが、ゴネる要介護者の相手を少人数でカバーするには、甚大な労力が掛かる。

医療看護師は最終的には、ある程度ドライに対応する方向に落ち着くようだ。
それで本人の精神的安定を図ろうとするように見受けられる。

プロのハズの看護師ですらそうなのだが、素人の介護ビジネススタッフはどうなるか。

極端な話、介護従事者が自殺しかねないほど追い詰められる可能性すらある。
そうなる前に大抵は辞めるだろう。だから介護ビジネスは人不足だ。

問題の加害者がセンセーショナルな言葉を吐いたため、これに対する反論が最近でもかなり続いてるが、問題はそこではないのだ。

http://sirabee.com/2016/07/26/147784/

神奈川県相模原市の障害者施設で19人を殺害した植松聖容疑者は、「障害者は死ぬべき」という考えを持っていた。
植松容疑者は衆議院議長宛てに「障害者を安楽死させるべき」という手紙を送り、警察にマークされていたのだ。障害者に対して強い憎しみを抱いていたことは確かな様子。
憎しみ?憎しみとは限らないだろう。

ここまで読んだら、何を書こうとしたか想像は付くかもしれないが、それは多分「禁句」だろう。筆を置くことにする。